「避難所ではどのようなルールが必要か知りたい。」
「今までの災害で避難所で起きた課題を知り、運営に活かしたい。」
「ぎすぎすした雰囲気の避難所は作りたくない。」
このような気持ちを持つ人に参考になればと思います。
このような記事を書きました。
避難所におけるルールとは
不特定多数の人が混乱状態の中で避難し、生活する避難所では、できるだけ避難者の負担が大きくならないよう、工夫が必要になります。運営に当たっては必要に応じて運営方針などを情報掲示板などで避難者にお知らせしましょう。避難者へも理解を求め、未然にトラブルを回避し、適切な運営を進め
ましょう。
避難所運営ルールのヒント
「掲示板にルールを掲示。ルールの見える化を」
情報が平等に伝わらないことがトラブルの原因になります。ルールを掲示してモラルの順守に努めます。
「洋式トイレは高齢者や障がいのある人を優先に」
「トイレ利用を我慢するような状況になっていないか注意」
トイレが利用しづらいため、トイレにできるだけ行かなくてすむように水分補給を控えると体調を崩す危険があります。
「座った体勢で過ごせるよう工夫をしましょう」
避難所生活の中で、横になって過ごす時間が多くなると体が弱ってしまいます。
(椅子や背もたれグッズを配置するなど工夫を)
「声かけなどの見守りの工夫をしましょう」
「体操の時間など、共有体験の時間をつくりましょう」
避難所生活の中では、プライバシーを確保することが重要で、ついたてを立てるなどの配慮が必要であると同時に、それによる孤立化の心配もあります。見守りの目がなくなり、ちょっとした様子の変化にお互いに気づきにくくなってしまいます。
「状況によって運営委員会でルールをつくり、専用スペース設置などの対応を考えましょう」
ペットは飼い主である避難者にとって家族の一員であり、心のよりどころとなっている場合があ
ると同時に、衛生管理や他の避難者への影響に配慮が必要でもあります。
「運営委員会に女性を複数名入れ、女性に配慮した運営をしましょう」
避難所生活では、更衣室の設置、つい立によるプライバシーの確保、授乳室の設置、必要物資の支給方法等の女性に配慮した運営が必要です。
「障がい者に配慮した支援体制にしましょう」
障がいによって様々な対応が必要ですが、周囲の理解や配慮が重要です。運営においても、障がい者の声が聞ける体制をつくる事が必要です。
「高齢者の心身の健康維持と自立支援を心がけましょう」
高齢者は、体力が低下しているため、これまでの生活とは異なる避難所での生活により、容易に体調を崩し、健康を損なう危険性があります。
「子どもの居場所づくりを考えましょう」
被災体験、避難所生活、子どもにおけるダメージは非常に大きいものです。子どもが「思いっきり声を出す」「体を動かす」などができる居場所をつくりましょう。
「通訳者の確保などにより、外国人への情報伝達を工夫しましょう」
外国人は言葉の壁によって、状況把握などが難しく不安な状況に陥ることが考えられます。情報伝達の工夫が大切です。
避難所へ訪れる避難所外避難者へも情報提供、炊き出し・救援物資の配給を行いましょう
避難所は、避難所外避難者支援も含めた支援拠点です。情報提供、炊き出しや救援物資の配給など、避難所外避難者への対応もしっかり行うことが求められます。
「観光客等帰宅困難者へも情報提供など配慮を」
避難所には、観光客等帰宅困難者が避難し、一時的に滞在することもあります。
避難所管理のルール
避難所において誰もができるだけ利用しやすいように、円滑な避難所運営を目指します。
衛生管理
- 手洗い場(洗面場)と調理場は分けましょう。
- 配食時など食べ物に触れるときには、必ず手洗い、消毒しましょう。
- マスクを用意しましょう。
- 残飯やゴミは分別して所定の場所に廃棄しましょう。
- 汁物や残飯を捨てるバケツにふたをしましょう。
- 残り物は捨てるよう指導しましょう。(配給や配食は食べられる分だけもらうよう指導しましょう)
- 手洗い、うがいを徹底しましょう。(トイレや洗面台等に貼り紙で周知)
- 手洗い用消毒液を子どもの手の届かない場所に設置しましょう。
- 清拭・足浴で清潔にしましょう。
食事管理
- 身体にやさしい食事(塩分控えめ、野菜多め)を提供しましょう。
- 地域の協力で炊き出しができるようにしましょう。(目標は48時間以内に開始できるようにすること!)
- 時間を決めて食事をするようにしましょう。
- みんなで一緒に食べるよう心がけましょう。
健康管理
- 1日5分でも体を動かす体操などの時間をつくりましょう。エコノミークラス症候群を防ぎます。また、避難所で1日1回、決まった時間にみんなで行うことは共有体験としても有効です。
- 個人の健康管理についてもルールを定め、注意を促しましょう。(腔衛生管理、喫煙、飲酒など)
- アルコール依存症の発症を防ぐため、避難所は原則として、飲酒は禁止します。
その他のルール
- 起床、消灯などの生活時間を決めておきます。
- 朝礼・健康体操の時間を決めておきます。
- 掃除をする日や時間を決めておきます。
- 掃除当番や配食当番等、避難者が参加できるようにします。
- 人数確認(点呼)の時間を設定します。
- 避難所内は火気厳禁とします。
- 貴重品の管理について自己責任で行うよう周知します。
- その他、必要に応じて話し合い、ルールを決めます。
ルールがあると便利な項目
ルールばかりだと窮屈になってしまいますが、避難所の雰囲気に合わせてルールを作っていくことが大切になります。
- 「みんなが活動しやすい場所に通路をつくったり、場所の移動ができる」
- 「プライバシーを配慮したルール。男女別更衣室は重要です」
- 「みんなに情報が行き届くように複数の掲示板や立て看板等を工夫して見える化を」
- 「要配慮者は通路側に配置してトイレが使いやすいようにする」
- 「適切な水分補給ができるように給水所の設置を考える。(夏)」
- 「効率的に暖がとれるように暖房器具を設置する(冬)」
- 「体育館以外のスペースの利用については、施設管理者等とよく話し合い、学校教育活動に必要なスペースはあらかじめ外しておきましょう」
- 「出入口等にスロープを配置して便所の目隠しなどにも配慮しましょう」
- 「観光客等帰宅困難者スペースを確保しましょう」
- 「女性用の洗濯物干場を確保しましょう」
- 「ペットについては、原則として避難所への持ち込みは禁止となっていますが、ペットの待避場所を設けるかどうかは、避難所運営委員会で話し合い、最終的に避難所ごとに対応を判断しましょう」
- 「グラウンド等の使い方について、仮設トイレの設置、暖をとる場所、炊き出し場所など多様な用途への活用、また車で避難してくる人を想定しての対応など、事前に施設管理者等とよく話し合っておきましょう」
- 「仮設トイレの設置に当たっては、特に女性や子どもの安全・安心に配慮しましょう」
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・避難所の問題が少なくなり、運営側の負担が減る。
・心に余裕ができるので、次のスタートを切りやすくなる。
・共助の向上につながる。
・過去の震災から活用できそうなルールをまとめておきましょう。
・ストレスの少ない避難所生活ができるように、それぞれの避難所に会ったルールを考えましょう。